MODERN WORKERS / AWARE

2024.04.27
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 

今回の舞台は宮城県。2022年にオープンしたラーメン店「aware(あはれ)」のオーナー、伊東剛氏を訪ねた。

 

自分の好みを知っているから、やりたいことが見えてくる

伊東氏のポリシーは、自然体の自分でいること。そのために、“なんだかいいな”という感性に従って好きなものを選び、生活に取り入れていく。アートやファッションなど、趣味のジャンルも幅広い。なかでも強く惹かれたのが、ラーメンだった。

「小学生のころからラーメンが好きで、社会人になっても食べ歩いています。これは好き、これは苦手という感じで、たくさん食べてきたからこそ自分の好みがわかって、理想の一杯を追求することができたんだと思います」

 

生活に溶け込んでいたラーメンだからこそ、道標になった

伊東氏はラーメン業界に入って7年目。東京のラーメン店で4年間修行を積んで、3年前に宮城にUターン。仙台駅から車で約15分の閑静な住宅街に「あはれ」をオープンした。

その出自は、フランス料理のコック。栃木県の那須高原にある会員制ホテルで腕を奮っていたが、東日本大震災を機に退職。地元に帰り、自分の人生を見つめ直した。

「プライベートな時間にフレンチに触れる機会って、全くと言っていいほどなかったんですよ。実はワインもそんなに得意ではない(笑)。でも、それじゃ上昇志向も萎んでいくだけだし、だったら、日ごろから好きで食べているラーメンを仕事にしようって。なんでもやってみることが大事ですよね」

 

 足して、足して、足して、最後に引くから洗練されていく

「あはれ」の看板メニューは、醤油が主役の醤油ラーメン。茶褐色のスープはキリッとした味わいで、スープを口に含むたびに豊かな醤油の香りが鼻を抜ける。ほろほろの豚バラチャーシューと、香ばしいフライドエシャロットがトッピングされた、食べ応えのある一杯だ。

「洋服と同じで、ラーメンにもトレンドがあります。この醤油ラーメンも、修行時代に時流を意識して作ったもので、最後に無駄な要素を削ぎ落として、個性をつけました。アレもコレもと足し算をしたからこそ、引き算が生きてくる気がします。仕事のスタイルも、経験をたくさん積んだ先に固まってくるもんだと思います」

店内は、白を基調としたクリーンな空間で、女性でも気軽に入れる雰囲気だ。入り口にはデザイナーと作った器が並び、壁にはショップロゴのグラフィックがディスプレイされている。一般的なラーメン屋のイメージとは少し違っていて、子連れでも入りやすい。

「みんながイメージするようなラーメン屋は、自分が作らなくても誰かが作っているので、せっかくお店を構えるなら、アートやストリートカルチャーを感じられる場所にしたかったんです」

 

試してみてしっくりこなかったら、予定を変更したらいい

伊東氏は、朝6時前に出勤して夜10時に店を出る。仕込み、調理、事務作業など、立ち仕事からデスクワークまで一日の大半を店で過ごす。だから、仕事中の服装は、必然的に動きやすくてイージーなものをチョイス。ショップのオリジナルTシャツにチノパンやデニムを合わせたコーディネートで働いている。

「ホテル時代は、コック帽と白いユニフォームが基本でした。それはそれでカッコいいんですけど、カジュアルな服装で働いてみたい気持ちもあって。イメージはオシャレな街のカフェ店員って感じですかね(照)」

オープンしたばかりの頃は、エプロンも付けていた伊東氏。働いているうちに必要性を感じなくなってしまい、今のスタイルに落ち着いた。

「エプロンをしていても、Tシャツやパンツは汚れるし、それならいらないやって。だって、洗濯するだけでも面倒でしょ?」

 

シンプルだけどこだわりを感じる。そんな服を着ていたい

学生時代やホテルを退職してからの数年間、伊東氏はアパレルショップで働いていた経験がある。もともとファッションが好きで、デザイナーズや古着など、さまざまなスタイルを試してきた。

年齢を重ねて、行き着いたのがワークやミリタリー、アウトドア。車社会にフィットした、気負わず着られるラクなアイテムがワードローブを占めていて、ナイジェル・ケーボンもそのうちのひとつ。

好きな洋服のテイストも、いろんなジャンルを着こなしてきたからこそ、定まってきた。ファッションにおいても、足して、足して、足して、引いての法則が当てはまる。

「ナイジェル・ケーボンのチノパンは生地が丈夫で、シルエットがキレイ。デザインはシンプルだけど、こだわりの詰まった服に男らしさを感じます。もちろん、トレンドも意識しますけど、服も自分が自然体でいられるものを選ぶようになりました」

 

いつも挑戦者でいるために、若い世代と一緒に何かしたい

何かを始めるきっかけは、どこに転がっているかわからないもの。「あはれ」が目指すのは、ラーメンという軸はぶらさずに、アートやイベントを通して、若い世代に影響を与えられる店だ。

「若い子たちの情熱って、すごいと思うんです。だから、彼らの刺激になるような仕掛けを店でも作っていきたい。今は、店の屋上が出会いの場になるような、カルチャーイベントができたらいいなって。若い世代が盛り上がれば地域も盛り上がるし、自分もパワーをもらえそう。新しいラーメンの開発にも挑戦したいですね」

SHOP INFORMATION
SHOP:AWARE / あはれ
INSTA:@aware_ramaen
ADDRESS:宮城県仙台市泉区南光台1-8-6
CONTACT:https://thebase.com/inquiry/aware-theshop-jp

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